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水彩色鉛筆と油彩色鉛筆、プロならこう使い分ける!

監修: 足立ゆうじ
名古屋造形大学教授 デザイナー イラストレーター

それぞれの色鉛筆のメリット

水彩色鉛筆のメリット

水をつけて簡単に溶かすことができます。溶かした時に美しく見える発色具合で
水に溶 かしてこそ良さが発揮されます。もちろん水を使わず描くこともでき、
幅の広い表現が期待できます。

油性色鉛筆のメリット

油性色鉛筆はなめらかでしっとりとした描き心地。
隠蔽生が高く、色を重ねて描くことができます。発色も良くしっかり描き込みたい時に
ぴったりな画材です。

水彩色鉛筆を活かした描き方

水彩色鉛筆を使ったひまわりの描き方

下絵を鉛筆で描きます。用紙のサイズはお好みに合わせてお選びください。今回はポストカードサイズに描いていきます。硬い鉛筆を使うと紙にあとがつきますのでBくらいの柔らかい鉛筆をお勧めします。

ひまわりの花びらを描いていきます。404、407、409を薄い色から重ねていき水で溶かして馴染ませます。細部を溶かす場合は水筆を使うのが便利です。

ZINC YELLOW
404
LEMON
407
ORANGE YELLOW
409

花びらに濃い黄色を足 して立体感を出していきます。光が当たっているところは薄く、影になるにつれて濃く塗っていくとより立体的に表現できます。

ORANGE YELLOW
409
DARK ORANGE
414

花びらの付け根にもう一 段濃い色を塗って立体感を強調します。

DEEP ORANGE
415

中央の茶色い部分(管状花)を塗っていきます。粒感をだすために水筆にとって置いていくように塗ります。水筆にとって塗った方が濃く描けます。溶かした色の上に色鉛筆を直接塗り重ねていくと色が乗りにくい場合があります。その時は水筆で色鉛筆から直接色をとって塗るのがお勧めです。

NOUGAT
478
RAW AMBER
480
OLIVE GREEN
473
DARK BROWN
479

茎を描きます。薄い色から塗っていき、葉脈部分は薄い色が見えるよう塗り残しながら周りを塗っていくと描きやすいです。1色で立体感を出そうとせず、何色も使って重ねていくと単調にならない深みのある立体感が表現できます。

APPLE GREEN
470
OLIVE GREEN
473
GREY GREEN
472
SAP GREEN
467
PRUSSIAN GREEN
457

空を塗って完成です。空は上に行くほど濃い色になります。下を薄くすることで空の広がりが表現できます。雲を描くと夏らしくなります。雲は紙の白を残して周りを青く塗り、溶かして馴染ませます。

DENIM BLUE
4E3

油彩色鉛筆を活かした描き方

油彩色鉛筆を使ったひまわりの描き方

下絵を鉛筆で描きます。油性色鉛筆は隠 蔽性に優れています。特徴を活かすために色紙に描いてきます。下書きは鉛筆で描きます。柔らかめの鉛筆を選んでいただくと紙を傷めにくいです。

薄い色から重ねていきます。最初にハイライトになる白を塗ります。その次に黄色を塗っていきます。白を花びらの全面に塗ってから黄色を上に重ねても大丈夫です。

WHITE
301
ZINC YELLOW
304
LEMON
307

花びらを塗り終えたあと、中央の茶色い部分(管状花)を塗ります。同様に薄い色から重ねていきましょう。

DARK ORANGE
314
NOUGAT
378
RAW AMBER
380
GREY ORANGE
372
VAN DYCK BROWN
376

茎を塗っていきます。薄い色から塗っていき、葉脈部分は薄い色が見えるよう塗り残しながら周りを塗っていくと描きやすいです。ベースとなる一番明るい色をベタ塗りしました。

APPLE GREEN
370

引き続き茎を塗っていきます。1色で立体感を出そうとせず、何色も使って重ねていくと単調にならない深みのある立体感が表現できます。

APPLE GREEN
370
LIME PEEL
371
GREY GREEN
372
PRUSSIAN GREEN
357

雲を描きます。空は紙の青を活かします。白で雲を描いて完成です。お好みで雲に影を薄く入れてみるのも良いかもしれません。

WHITE
301
COOL LIGHT GREY
395

水彩色鉛筆と油性色鉛筆を組み合わせて使うこともできます

水と油の性質を利用してより表現力豊かな絵を描いてみましょう

主線を油性色鉛筆で描きます。花びらは黄色を、茎は緑を。それぞれの固有色より少し濃い色を選んで主線を描いてきます。花びらの白く残したいところに白い色鉛筆を塗りました。水を弾くため白いハイライトとして活かせます。

WHITE
301
LEMON
307
NOUGAT
378
RAW AMBER
380
APPLE GREEN
370
GREY GREEN
372

ひまわりの花びらを水彩色鉛筆で描いていきます。404、407、409を薄い色から重ねていき水で溶かして馴染ませます。細部を溶かす場合は水筆を使うのが便利です。花びらに濃い黄色を足して立体感を出していきます。光が当たっているところは薄く、影になるにつれて濃く塗っていくとより立体的に表現できます。

ZINC YELLOW
404
LEMON
407
ORANGE YELLOW
409
DARK ORANGE
414
DEEP ORANGE
415

中央の茶色い部分(管状花)を塗っていきます。粒感をだすために油性色鉛筆で点を置くように影を描いていきます。

RAW AMBER
380

引き続き中央の茶色い部分(管状花)に水彩色鉛筆で色を塗ります。全体を水で溶かしても、先ほど描いた点描が溶けずに残って雰囲気の良い立体感が出てきます。

NOUGAT
478
RAW AMBER
480
OLIVE GREEN
473
DARK BROWN
479

茎を塗っていきます。葉脈を油性の薄緑であらかじめ描いてあるので弾いて線が残ります。異なった緑を何色も重ねていくと単調にならない深みのある立体感が表現できます。

APPLE GREEN
470
OLIVE GREEN
473
GREY GREEN
472
SAP GREEN
467
PRUSSIAN GREEN
457

空を塗ります。あらかじめ雲の部分に油性色えんぴつの白色を塗っておきます。空は上に行くほど濃い色になります。下を薄くすることで空の広がりが表現できます。先に塗っておいた白が水を弾いて雲のように仕上がります。乾きにくいのでティッシュなどで軽く拭き取って完成です。

DENIM BLUE
4E3

最後に

ご自身に合った使い方を見つけるのが一番!

さまざまな画材が登場していますが、使い方にルールがないのも楽しいところ。
優れた作品を見て手本にするもよし、他にない描き方を創意工夫するもよし。楽しさに色を添えてくれます。

大切なのはまずは完成させること。
思っている通りの絵が描けることはプロでもなかなかありません。
ハードルを上げず、ご自身に合った使い方で楽しく絵と向き合えばますます好きになれます。

好きこそ物の上手なれ。

少しずつでも継続していければ次の改善点が見つかります。
その繰り返しで いつか誰にも描けない自分だけの一枚の絵に到達します。
色鉛筆は好きなことを無理せず楽しく気軽に続けられる画材のひとつです。

水彩色鉛筆と油性色鉛筆の特徴を比べてみてご自身の手に合った方を選んで気軽に描いていきましょう。

この記事で使用した色鉛筆

ファーバーカステル 水彩色鉛筆 100色セット

ファーバーカステル伝統の、クラシックな絵柄の缶に入った色鉛筆セットです。直径3.3mmの太さの芯は、SV製法により芯が折れにくい構造になっています。また、軸部分には名前の書き込めるスペースがあるので、学校などでのご使用にも便利です。

ファーバーカステル 色鉛筆 60色セット

ファーバーカステル伝統の、クラシックな絵柄の缶に入った色鉛筆セットです。直径3.3mmの太さの芯は、SV製法により芯が折れにくい構造になっています。また、軸部分には名前の書き込めるスペースがあるので、学校などでのご使用にも便利です。

アーティスト紹介

藍月リオンアーティスト

私から一言

幼い頃から絵を描くのが好きで、芸術作家活動を行っていた祖父から油絵具を使った簡単な絵画の描き方などを教わるなど、絵を描く楽しさを得る環境に恵まれて育ってきたので、今の私があるのだと思います。


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